第1回名古屋大学プラズマナノ工学スクール
先端プラズマ計測の基礎と応用

プログラム


10:00-10:10

開会挨拶

鈴置保雄


10:10-11:10

発光分光計測技術およびLIF計測技術

佐々木浩一


本講演では,プラズマ中のラジカル密度を計測することを目的とした発光分光法およびレーザー誘起蛍光法について解説する。発光分光法は,プロセスプラズマに対して最も適用しやすい汎用的プラズマ計測技術であるが,分光器が吐き出すスペクトルデータからプラズマ中のラジカル密度に関する情報を引き出すには,プラズマからの発光の起源などに関する正しい理解が必要である。本講演では,プラズマ分光学の基礎について解説した後,ラジカル密度の推定方法を実例に基づいて説明する。また,レーザー誘起蛍光法に関しては,最近進歩が著しい可視化(イメージング)計測技術に焦点を絞り,実例を示しながらその概要を示す


11:10-12:10

プローブ計測・質量分析技術

豊田浩孝


「プローブ計測・質量分析技術」は比較的簡便にプラズマ中の粒子種の同定および度評価をおこなうことができる技術であり,また計測の技術的背景となる物理も比較的理解しやすいため研究・開発に容易に導入が可能である。本講義では,さまざまな質量分析技術を紹介するとともに,質量分析技術の応用としてのプラズマ中の化学活性種計測技術(出現質量分析)を紹介する。またプラズマ計測の基礎技術であるラングミュアプローブ計測法の基礎とプラズマパラメータ評価法について述べるとともに,ラングミュアプローブ法と異なる原理に基づいて近年開発された新しい「プローブ」計測技術について平易に解説する。


12:10-13:20 

昼 食


13:20-14:20

光散乱によるプラズマ診断

河野明廣


プラズマ中の自由電子や原子分子によるレーザー光の散乱を計測することにより,種々の情報を得ることができる。特に自由電子による光散乱であるトムソン散乱は,プラズマの最も基本的なパラメータである電子密度と電子温度が,無侵襲かつ高い時空間分解能で計測可能であるという,他の方法では得難い特徴を持つ。本講演では低温プラズマのトムソン散乱計測に関して,理論的基礎,実験技術の要点から,低圧プラズマや大気圧プラズマへの適用例までを詳しく解説する。また,分子による光散乱であるラマン散乱の気相診断への応用の可能性についても概説する。


14:20-15:20

吸収分光計測技術

堀 勝


吸収分光計測は,プラズマプロセスにおいて重要な役割を担う粒子種(分子状ラジカル,原子状ラジカル,等)の絶対密度を無浸襲かつダイレクトに把握できる技術である。本講演では,吸収分光計測の基礎と方法及び計測システムを紹介する。また,吸収分光計測を用いた各種プラズマプロセスでの粒子計測結果を紹介するとともに,粒子の振る舞いについても解説を行う。また,近年,ラジカル種を簡便に計測する装置が開発されたので,その装置についても応用例とともに紹介をする。更に,ラジカル種の密度を自律的に制御するプラズマプロセス装置も紹介する。


15:20-15:30 

休 憩


15:30-16:30

表面入射正負イオンの計測評価技術

林 俊雄


質量分析器付きイオンエネルギー分析器で特定のイオン種の入射エネルギーを測定する場合,一般に以下のような課題がある。

1.質量分析器を通過するイオンのエネルギーを10 eV一定にする。
2.従って,バイアス電圧に応じて測定系の電位を変えなければならない。
3.外部へのデータ取り出しは光に変換して行う。
4.測定室の圧力は1x10-2Pa以下でなければならない。

この制約のため,測定系全体を絶縁箱に収納し,測定系全体をイオンエネルギーに応じて掃引することが必要となり,外形寸法は大きくなる。しかしながら,この方法により正確なバイアス基板入射イオンエネルギーが測定可能となった。印加電圧を逆にすれば負イオンのエネルギー分析も可能である。このエネルギー測定法について解説すると共に,測定例について概観する。


16:30-17:30

機能性薄膜・表面評価技術

高井 治


プラズマプロセスにより色々な機能性薄膜・表面が作製できる。この作製した薄膜・表面の構造,結合状態,組成と電気的,磁気的,機械的,光学的,化学的,熱的など各種性質を計測・評価することは,基礎的のみならず応用上の見地からも重要である。特に表面の計測・解析技術には,光,電子線,X線,走査プローブなどが使われ,様々な手法が開発されてきた。また,各種性質については,それぞれの性質評価に応じた方法が開発されている。本講演では,我々の研究室で作製した,蓮の葉のように水をコロコロ弾く超はっ水薄膜・表面,ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜などの硬質・耐摩耗性薄膜,色を可逆的に変えるエレクトロクロミック薄膜など,具体的な機能性薄膜・表面を例にして,その評価技術について解説する。


17:30-17:40 

まとめ


18:00-19:30 

懇親会


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