GlowDischarge のバックアップ(No.1)


Memorandum

高圧力グローについて

DC放電に見られる正規グローは,圧力と放電サイズにスケーリング則が見られる.

DC放電の陰極暗部の特性において,スケーリング則が低圧力領域で,1933年に von Engel, Seeliger, Steenbeck らによって提唱された.(von Engel, Seeliger, Steenbeck, Z. Physik 85 (1933) 144.)

1957年に Gimbling が,大気圧近傍の放電においても,このようなスケーリング則が見られることが示した.(W. A. Gimbling, Phys. Rev. 106 (1957) pp. 203. DOI

圧力 p ,電極間隔 d , 陽光柱の電界 E , 放電電流密度 j , 電離増幅度(Townsend係数) α , の間には

pd = const

E/p = const

j/p^2 = const

α/p = const

の関係が成立している.つまり,圧力と電極間隔の積の値を一定に保てば,同じような放電電流密度と 同じような陰極部での電圧降下が見られる.電極の温度が十分低ければ,この関係は保たれる.(C. Maszl, J. Laimer, A. von keudell, H. Stori, arXiv.physics.plasma-ph 1508.06739v1 (2015) )

陰極部で,電圧降下 E , 正イオン電流密度 j , を生じる.正イオン電流密度は,負グロー部の近傍では E に比例し,陰極の近傍では √E に比例する.

陰極表面の電界と電流密度によって生じた熱が,熱伝達係数 k で失われているとするグローの放電条件を考える.

圧力が低い場合は,熱伝達による冷却にバランスする全電流密度が得られるので,電流密度が圧力の二乗に比例する.

一方圧力が高い場合には,熱伝達の冷却効果(温度Tでの熱伝達係数のべき因子 n をもちいて, k ∝ T^n)を β係数で示すと,β=(2n+2)/(n+2)と表せる.温度べき因子が1であれば,高圧力で 3/4 乗が得られる.

この電流密度の圧力依存性の結果は,水素や大気の1気圧下での実験結果でも得られている.(Gimbling, H. Edels, Brt. J. Appl. Phys. 5 (1954) 36; ibid 7 (1956) 376; Can. J. Phys. 34 (1956) 1466.)