GlowDischarge のバックアップ差分(No.2)


#author("2020-11-27T21:00:20+09:00","default:ishikawa","ishikawa")
#author("2020-11-27T22:09:34+09:00","default:ishikawa","ishikawa")
[[Memorandum]]

*高圧力グローについて

DC放電に見られる正規グローは,圧力と放電サイズにスケーリング則が見られる.
DC放電に見られる正規グローは,圧力と放電サイズにスケーリング則が見られる.すなわち,DC放電の陰極暗部の特性において,スケーリング則が低圧力領域で,1933年に von Engel, Seeliger, Steenbeck らによって提唱された.(von Engel, Seeliger, Steenbeck, Z. Physik 85 (1933) 144.)

DC放電の陰極暗部の特性において,スケーリング則が低圧力領域で,1933年に von Engel, Seeliger, Steenbeck らによって提唱された.(von Engel, Seeliger, Steenbeck, Z. Physik 85 (1933) 144.)
大気圧近傍の放電においても,1957年に Gimbling が,このようなスケーリング則が見られることが示した.(W. A. Gimbling, Phys. Rev. 106 (1957) pp. 203. [[DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRev.106.203]])

1957年に Gimbling が,大気圧近傍の放電においても,このようなスケーリング則が見られることが示した.(W. A. Gimbling, Phys. Rev. 106 (1957) pp. 203. [[DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRev.106.203]])
グロー放電では,圧力 p ,電極間隔 d , 陽光柱の電界 E , 放電電流密度 j , 電離増幅度(Townsend係数) α , の間には

圧力 p ,電極間隔 d , 陽光柱の電界 E , 放電電流密度 j , 電離増幅度(Townsend係数) α , の間には
pd = const ; E/p = const ; j/p^2 = const ; α/p = const 

pd = const
の関係が成立しているように見られる.つまり,圧力と電極間隔の積の値を一定に保てば,ガスの数密度あたりの電界は一定となる.陰極部での電離増殖を放電維持機構とするために,この条件下では,同じような放電電流密度と 同じような陰極部での電圧降下が見られることとなる.グローの条件でもある,電極の温度が十分低く保たれれば,この関係はなりたつ.(C. Maszl, J. Laimer, A. von keudell, H. Stori, arXiv.physics.plasma-ph 1508.06739v1 (2015) )

E/p = const
陰極部で,電圧降下 E , 正イオン電流密度 j を生じているとする.また,正イオン電流密度は,負グロー部の近傍では E に比例し,陰極の近傍では √E に比例する.このとき,放電において,陰極表面の電界と電流密度によって生じた熱が,熱伝達係数 k で失われていることで,グローの放電を生じていると考えられる.この条件となるエネルギーの収支バランスを考えれば,圧力が低い場合は,熱伝達による冷却にバランスする全電流密度が得られるので,電流密度が圧力の二乗に比例する.一方,圧力が高い場合には,熱伝達の冷却効果(温度Tでの熱伝達係数のべき因子 n をもちいて, k ∝ T^n)を β係数で示すと,β=(2n+2)/(n+2)と表せる.温度べき因子が1であれば,高圧力で 3/4 乗が得られる.これらのことを Gimbling は示した.

j/p^2 = const
電流密度の圧力依存性が圧力の二乗に比例する関係については,水素や大気の1気圧下での実験結果でも得られている.(Gimbling, H. Edels, Brt. J. Appl. Phys. 5 (1954) 36 [[DOI:https://doi.org/10.1088/0508-3443/5/1/309]]; ibid 7 (1956) 376 [[DOI:https://doi.org/10.1088/0508-3443/7/10/309]]; Can. J. Phys. 34 (1956) 1466.)

α/p = const 
陰極暗部の大きさが,プラズマ径に近づくと径方向に荷電粒子が損失する降下が大きくなり,放電電圧が上昇する.陰極の電圧降下領域は大気圧に近くなると,10μmであるため,正規グローを維持するためには,プラズマを小さくしなければならず,このようなプラズマはマイクロプラズマと呼ばれる.

の関係が成立している.つまり,圧力と電極間隔の積の値を一定に保てば,同じような放電電流密度と 同じような陰極部での電圧降下が見られる.電極の温度が十分低ければ,この関係は保たれる.(C. Maszl, J. Laimer, A. von keudell, H. Stori, arXiv.physics.plasma-ph 1508.06739v1 (2015) )
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陰極部で,電圧降下 E , 正イオン電流密度 j , を生じる.正イオン電流密度は,負グロー部の近傍では E に比例し,陰極の近傍では √E に比例する.

陰極表面の電界と電流密度によって生じた熱が,熱伝達係数 k で失われているとするグローの放電条件を考える.

圧力が低い場合は,熱伝達による冷却にバランスする全電流密度が得られるので,電流密度が圧力の二乗に比例する.

一方圧力が高い場合には,熱伝達の冷却効果(温度Tでの熱伝達係数のべき因子 n をもちいて, k ∝ T^n)を β係数で示すと,β=(2n+2)/(n+2)と表せる.温度べき因子が1であれば,高圧力で 3/4 乗が得られる.

この電流密度の圧力依存性の結果は,水素や大気の1気圧下での実験結果でも得られている.(Gimbling, H. Edels, Brt. J. Appl. Phys. 5 (1954) 36; ibid 7 (1956) 376; Can. J. Phys. 34 (1956) 1466.)